🦊こんにちは、はるなです。
今回は、ごりゅごさんの「バッテリー上限80%にすると、どんないいことがあるのか」です。
2023年以降に出たモデルのiPhoneやiPadには、バッテリー充電上限を80%に制限する機能が付いています。対象モデルは、iPhone 15シリーズ、iPhone 16シリーズ、iPad Pro (M4)、iPad Air (M2)、iPad mini(A17 Pro)です。
私はデバイスの充電管理があまり得意ではなく、ギリギリまで充電しないことが多いため、家でも割と頻繁に低電力モード発動させてモバイルバッテリーを使っていましたが、このまとめを読んで上限80%をオンにしてみることにしました!
🔋 新しいバッテリーのオプション「上限80%」
去年の話になりますが、新しいiPhoneは設定によって「充電上限を80%にする」ことができるようになりました。
この機能は、iPhone 15 以降から使えるようになったものですが、実は一部のiPadでもこの機能が使えるようになっていたことを知りました。(iPad Pro (M4) と iPad Air (M2)、一番新しいiPad miniが対応している)
iPhoneの充電上限とバッテリー充電の最適化について - Apple サポート (日本)
iPad のバッテリーを充電および節約する - Apple サポート (日本)
これ、個人的にはiPhoneで充電上限を80%にすることができるよりも嬉しいことが多いんじゃないかと思ってます。
ということで、充電上限を80%にするとどんないいことがあるのか。理由なんかもある程度調べてみたので、充電上限に関することについて、個人的な趣味趣向と合わせていろいろご紹介したいと思います。
⚡️ バッテリーはゼロや満タン近辺ではより多く消耗する
「充電上限を80%にする」という機能によってどんなことができるのかは、文字を読めばだいたい意味が分かると思いますが、なぜそんな機能が搭載されるようになったんでしょうか?
これをきちんと理解するためには、現在主流となっている化学電池(リチウムイオンバッテリー)の仕組みをかるーく理解しておくと便利です。
リチウムイオンバッテリーは、その名前にも出てくる「リチウムイオン」というものを電気の力でプラスの電荷の方に引き寄せておきます。この、引き寄せておいたリチウムイオンがプラスからマイナスに動くことで電気が発生する、というのが大雑把な原理です。
イメージとしては、リチウムイオン君にあらかじめパワーを渡しておいて、必要に応じてそのパワーを解放してもらうことで電力を得る、みたいな感じかな。
ポイントは、基本的にはリチウムイオンを行ったり来たりさせることができるから、電池は何回でも再利用できる、ということです。
単純にリチウムイオンを行ったり来たりさせるだけならば電池はいつまでも使えそうな気がするんですが、世の中そう理想通りには行きません。
リチウムイオンが移動するときに、電気を発生する副作用で中の電解液に不純物が混じったり、イオンがバッテリーの中にくっついてしまうようなことが起こります。そういう「ゴミ」が発生してしまうことで、使えば使うだけ、少しずつ性能が落ちていきます。
そしてポイントとなるのは、この「ゴミのでやすさ」というのがバッテリーの残量によって大きくなったり小さくなったりするということ。電池の残量が多すぎるときや、少なすぎるときには、中間くらいのバッテリー残量のときに比べて「ゴミ」が発生しやすくなってしまうのです。
数字はあくまでも目安ですが、残量80%以上の場合には、電圧が高いがゆえに電解液や電極が劣化しやすい。(頑張ってぎゅうぎゅうに押し込まないといけない、というイメージ)残量が20%以下の時には、今度は電圧が少なすぎるがゆえに劣化しやすくなるのです。(整備されていない道を頑張って進んでいかないといけないイメージ)
👼1000から2000回くらいで限界がやってくる
今どき(2020年くらい)のリチウムイオン電池は、1000から2000サイクル(0%→100%を1サイクルと数える)くらいで寿命を迎える(最大容量が80%以下になる)と言われています。
iPhone Battery and Performance - Apple Support(2024年5月21日)
なぜ1000から2000という数字の幅があるのかというと、これが結局「どれだけ優しい充電が出来たか」によって変わるから。
バッテリーが劣化しづらい充電をしてあげれば2000サイクルくらいの充電が出来るけど、バッテリーに厳しい充電ばかりしていると1000サイクルくらいでバッテリーの寿命が来てしまう。
あくまでも書かれている数字から予測したイメージですが、0%→20%の時と80%→100%の時の充電は、20%→80%の時の2倍くらいの負荷がかかると考えられそうです。
別の言い方をすれば、バッテリー上限を80%に設定して、バッテリーが20%以下になる前に充電ができていれば、何も考えずに使うときの2倍くらいバッテリー寿命が長持ちするかもしれない。
2年でへたるかもしれないバッテリーを4年使える可能性が出てくる、ということです。(あくまでもイメージであり、絶対そうなるというわけではない)
📲80%上限はiPadと相性がいい
もちろん、ここまでの話は、予想と希望的観測を含めたもので、なにもかもがそう理想通りに行くわけではありません。
なによりも、バッテリー上限80%の設定というのは当然いいことばかりではなく、体感的に「かなり早く」iPhoneの電池が無くなります。
また、バッテリー残量が20%以下での充電も、バッテリーへのダメージがデカいです。
外出先でバッテリーが20%以下まで減ることが多ければ、電池がゼロになるリスクが増えるだけでほとんどいいことはない、とも言えます。
そういう意味で、iPhoneでバッテリー上限80%を常にオンにするとメリットがある人というのは「しょっちゅう充電が可能な環境」にいる人に限られてきます。
これがiPadの場合、ちょっと話が変わってきます。
大抵の場合、iPadはある程度腰を落ち着けた環境で使うことが多く、外を歩いているときに電池が減る可能性は高くありません。座ってiPadを操作するならば、充電しながらの操作もさほど苦にならないし、最悪iPadの場合ならば充電が出来なくて電源が切れてしまっても生活で困るようなことが少ないです。(iPhoneは、もはや「財布」だし「ライフライン」なので、電池が無くなると困ること多いですよね?)
つまり、iPadをよく持ち歩く人も、ヘビーに外で使いまくることが少なければ、上限80%のデメリットは少ないはず。
さらに言うと、基本的に家でしかiPadを使わない人。このタイプの人にとって、上限80%というのはすごくメリットが大きいです。
家にずっとiPadを置いている、という場合、iPadをずっと充電器につないだまま、という状態が発生しやすくなります。
ここで、バッテリー残量が100%になってからも充電しっぱなしの状態って、バッテリーへの負荷が大きいのです。
バッテリー100%の状態でiPadを充電しっぱなしにしているということは、99%に電池が減ったらまた100%まで充電が行われる、ということ。これって、99%→100%の充電を断続的にずっと繰り返しているようなもので、これは「一番電池が減る状態」です。
充電上限を80%にしておけば、こうしたことを一切気にする必要がなくなります。バッテリーのことをなにも気にせず、心置きなく充電ケーブルをつないだままにしておけます。
なによりも、iPadはiPhoneよりも使い続ける期間が長くなる傾向があるものです。そうした機器を、さほど苦労することなくバッテリーを長持ちさせることが出来るのであれば、それはもういいことしかないはず。
自分みたいな、バッテリーを長持ちさせたいという気持ちを持ち、充電をマメにすることを厭わない(というよりもちょっと減ったと思ったらすぐに充電したい)という性質をもった人にとっては、最強としか言いようがない機能なのです。
☺️「気分よく使えるようになる」ことの偉大さ
もちろん、こんなこと一切まったくなにも気にしないで生きていられる人であれば、バッテリーを長持ちさせるなんて言う細かいことに気を使うより、もっと有意義なことに力を注ぐべきです。
それが自然に出来るならば、その方がいいことは多いです。
ただ、自分は「満タンキープしない方がバッテリーが長持ちする」ということを知ってしまった。そして、それを知ってしまうと気にしないでいることが出来ない。
そういうことが気になるタイプの人が、心置きなく充電しまくることができる。
そう、バッテリー上限80%という設定は、iPhoneやiPadをこれまでよりも「気分よく使う」ための機能なのです。
好き嫌い、相性などは色々あると思いますが、ごりゅごと似たようなタイプの人であればきっと「いい気分」を満喫できると思います。
参考までに、ChatGPTにまとめてもらったリチウムイオンバッテリーの進化表も載せておきます。どこまで正確かまではきちんと調べていませんが、2020年ごろの情報がAppleの公式情報とある程度一致しているので、そう大きく外れてはいないんだろうと思います。
ということで今日は「バッテリー上限80%にはどんなメリットがあるのか」についてでした。
👠編集後記:
毎月1本、お互いのニュースレターへ寄稿し合っています。私の書いたObsidianの記事も「✉️ナレッジスタック」で配信されているので、よかったらそちらも読んでみてください。
今回の記事で使用した画像は全てChatGPTで作成しています。日曜日のiPadセミナーでは、実際のプロセスを紹介するので、よかったらご参加ください。
🎥 ChatGPT活用講座 バナー&ロゴデザイン サムネイル画像の作り方
ちなみに、同じタイミングで購入、使用している2台のiPhone 15 Proのバッテリー状態を比較してみました。左がharuna、右がごりゅごです。
右のごりゅごさんのみ、バッテリー上限80%に設定して使用しています。1年間で最大容量は2%の差が出ました。ただ、充放電回数が左の方が100回分多いので、単純にiPhoneの使用量が多いから劣化が早いとも取れます。
さらに1年経てば、もっと差が開くかもしれないし、開かないかもしれない。即効性があるオプションというよりは、精神衛生上、安心できるといった部類のものなのかもしれません。
でもやっぱり「知ってる」だけでも違いは出ると思います。特にこの話を聞いて、充電器に差しっぱなしにしていることが多いiPadに関してはどちらも上限80%をオンにしました。
今のところ、5月に購入したiPad Proは最大容量100%なので、少しでも長くこの状態を維持できたらいいなと思います。