👋 こんにちは、はるなです。
今日のテーマは「iPadはMacになるのか?」です。
Appleが開発者向けに行っているイベント、WWDC25で発表された次期iPadOS 26についてです。
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🌀iPadOS 26で見えてきた“新しいiPadの姿”
今年のWWDC(Worldwide Developers Conference)で発表された「iPadOS 26」。現在の最新バージョンは「18.5」ですが、この秋リリース予定の最新OSは「26」へ。
これはAppleがすべてのOSのバージョンを揃えるという方針からで、iOS、iPadOS、macOS、watchOS、tvOS、そしてvisionOSまで、次回から一斉に「26」に統一される予定です。(iOS/iPadOS 18.5、macOS 15.5 Sequoia、watchOS 11、tvOS 18.5、visionOS 2.5、と現在はかなりバラバラ)
また、単なるバージョン数の統一だけでなく、「すべてのAppleデバイスを1つのプラットフォームとして考え直す」という、より大きな戦略があってのことです。
iPadOS 26ではさまざまな新機能が紹介されていましたが、今回はその中でも、「新しいウィンドウシステム(new windowing system)」についてまとめていきます。iPadOS 26では「複数ウィンドウの操作性改善」や「ウィンドウを自由に動かす・重ねる・サイズ調整できる機能」が追加されます。
iPadOS 16からステージマネージャーが新機能として導入されていますが、その進化版というか、iPadOS全体でウィンドウコントロールが可能になるというものです。
これは果たして、iPadの革命的進化なのか?と私個人的には疑問に思うところもあるのですが、もう少し掘り下げてまとめてみます。
🖥️iPadにやってくる“Mac的ウィンドウ体験”
iPadOS 26で導入された「新しいウィンドウシステム(new windowing system)」。Appleはこの機能について、「直感的で柔軟なウィンドウ操作が可能になる新しい仕組み」と紹介していました。
ウィンドウのサイズを自由に変更できたり、画面上で複数のアプリを重ねて表示したり、Macのように「閉じる」「最大化」といったUIパーツが登場したり、デスクトップ環境さながらの操作感が実現されています。
これまでのiPadでは実現できなかった複数ウィンドウの同時管理や、ウィンドウをスナップして整理する機能が追加されたことで、まるで小さなMacのような感覚でiPadを使えるようになるという紹介でした。
iPadをMac的に使いたい人には待望の機能!と話題にしているメディア等もありますが、私個人的には「MacとiPadは全く別物と考えて使用した方が○」と考えているので、あまり共感はできません。
細かな操作ができるようにマウスポインタの形も変わるようですが、あくまでこれってトラックパッドやマウスでの操作が前提のものです。iPadの魅力はその板があれば、自分の指だけで直感的な操作ができることではなかったのかな。
ステージマネージャーが登場してから3年経ちますが、そこまで使っている人を見ない(これは私の肌感覚ですが)のも、iPadに求められる機能ではないからだと思っていたので、AppleがiPadOS全体に新しいウィンドウシステムを導入してくるのは少し意外でした。
ただし、「従来の使い方もできます」と何度か言っていたので、ユーザーが好みの操作方法を選択できるようになるというのが正しい表現なのかもしれません。
まぁでも今でも十分マルチタスク関連のウィンドウ操作方法が難しい(操作方法が複数ある)のに、さらに複雑になりそうな予感はしています。
🧭“iPadらしさ”が失われる?
iPadの魅力といえば、シンプルで直感的な操作性が挙げられます。1つのアプリに集中できる全画面表示、Apple Pencilを活かした手書き体験などが「iPadらしさ」を形作ってきました。
ところが、今回の「新しく直感的なウィンドウシステム」(マルチウィンドウやウィンドウサイズ変更など)はそうした“iPadらしさ”に相反するものです。
たとえば、ウィンドウを重ねたりサイズを自由に変えたりする操作は、指だけで扱うにはやや細かすぎる操作感に感じられます。Appleはトラックパッドやマウスの利用を前提に設計しているように見えますが、それって本当に“iPadらしさ”なの?という疑問がどうしても残ります。
個人的な話をすれば、私はあまり「iPadのMac化」に期待していません。むしろ、iPadはiPadらしくあるべきだと思っています。
たとえば、お絵かき系アプリを例えにすると、「CLIP STUDIO PAINT」や「MediBang Paint(メディバンペイント)」などはPC版のUIをほぼそのままiPadに持ち込んでいる印象があり、メニューが小さく指で操作するのは少し難しいです。
一方で「Adobe Fresco」や「Procreate」などは、iPadに最適化されたUIが非常に優秀で、指だけでも十分快適に操作できるよう設計されています。
ちなみに、CLIP STUDIO PAINTにはシンプルモードとスタジオモードがあり、シンプルモードはタブレットに最適化されているので、どちらか好きなモードをユーザーが選べる仕様です。
使い慣れたUIや機能をiPadでも使いたいという気持ちもわからないでもないので、ユーザー自身が選択できるという方向性をAppleも打ち出してきたとわかります。
ただし、MacとiPad(特にiPad mini)では画面サイズにかなり差があります。Mac的な見た目や機能をただ移植するだけでは、使いづらくなるのは容易に予想できます。
MacぽさをiPadに合った形でうまく融合してくれるかどうか。同じように感じられるけれど、それぞれの操作感は損なわない絶妙なバランスって多分めちゃくちゃ難しいと思うのですが、Appleなら作り出してくれそうだなという期待は大きいです。
🧩iPadは“Mac化”したのではなく、“自由化”した
とはいえ、iPadがMacに近づくことには当然メリットも存在します。
今までユーザー側の工夫でなんとかしていた機能(主にファイル操作系)も、次のiPadOS 26からはかなり改善されそうです。
初期の頃はファイル保存の概念や、保存場所を意識させないデバイスだったけれど、それではやっぱり困る人が多く、2017年のiOS 11から「ファイル」アプリが追加されました。そして、2019年からはiPadに最適化されたOSとしてiPadOSが登場、2025年の秋には「プレビュー」アプリも独立したものが追加される予定です。
一方で、iPadがMacの代替になりそうに見えることで「どちらを選ぶべきか分かりにくくなる」という問題が、今以上に大きくなるとも予想できます。
明確に棲み分けがあったはずの2つの製品が、徐々に境界線を曖昧にしているのは間違いないので、元々のiPad独自の思想的な、「簡単であること」や「画面に直接タッチして操作できること」がどう融合されていくのかは楽しみです。
今回重要なのは、iPadのMac化が“強制的な変化”ではないという点です。ユーザーは、これまで通りのシングルタスクで1画面1アプリのシンプルな状態で使い続けることもできますし、新しいウィンドウシステムを活用してMac風に作業することも可能です。
つまり、「選択肢」が増えたということです。すべての人がMac的な操作を求めているわけではありませんし、すべての人が従来のiPad体験を守りたいわけでもありません。その中で「どちらのスタイルも選べる」という設計は、合理的かなと思います。
最近のiPadはMシリーズチップを搭載し、ハードウェアとしてはMacにも引けを取りません。そのスペックを活かすための選択肢が増えたという点では、歓迎すべき前向きな変化かもしれません。
あくまで、iPadはiPadで、「Macのようにも使えるようになった」というのが正確な表現だと私は思います。
ということで今日は「iPadはMacになるのか? 」というお話でした。
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